トニー滝谷

出演:イッセー尾形宮沢りえ篠原孝文、四方堂亘、水木薫、草野徹小山田サユリ山本浩司
木野花西島秀俊(語り)ほか
監督:市川準

孤独一色の映画だった。私にはそれがとても辛く感じられ、切なくもあった。
前に市川監督が何かの映画(おそらく竜馬@三谷さん)のときのインタビューで「僕の映画はみんな観終わった後に暗い顔して出てくる(苦笑)」なんて言っていたのを思い出した。確かにこれは映画館のあの巨大なスクリーンで、まるでその世界に入ってしまったかのような感覚に陥りながら観ると相当辛いだろう。家で自分の部屋で観ていても結構辛かった。鬱になりそうだった(笑)
‘孤独=愛する人が存在する証明’なんだと思った。トニーは今まで特に孤独なんて感じることなく生きてきたが、愛する人に出会い、孤独を忘れ、失い再び孤独になった。もしかしたら、トニーは生まれたときから孤独だったのだろうが、比べる愛や幸せがなければそんなことには気付かないわけで…そうゆう意味では二度目に訪れた孤独の辛さはとてつもないものだったのではないかと思う。
主演二人の演技が本当に自然体で素晴らしかった。映像からも演技からも‘乾いている’というイメージがとても感じられて、それが全体的に更に孤独感を醸し出していたのかな、と思った。