(ハル)

出演:深津絵里((ほし))、内野聖陽(ハル))、宮沢和史戸田菜穂((ローズ))ほか
監督:森田芳光

とても良い映画でした。観終わった後、心が温まるようなそんな映画でした。久々に人に勧めたいと思える恋愛映画です。
文字がとっても多い作品です。8〜9割がメールの文字だといってもいいでしょう。
森田監督のインタビューでもあったように、確かに私達は洋画を観るとき文字を見ている。そして、その文字を見て泣いたり笑ったりしている。結局は文字を見ているんです。文字によって心を奪われている。それならば文字も映像の一部といえるのではないか。だから文字を強調した映画が作りたかった。
考えてみたら深津さんも内野さんも非常に発声するセリフは少ない。メールのやりとりがほとんどです。それでも充分に(ハル)や(ほし)の心が分かってしまうのが不思議。むしろ文字だから、より赤裸々に心が読めるのかも知れませんね。
二人のメールのやりとりを見ていて、(ハル)が(ほし)に元気をもらったように、(ほし)が(ハル)に元気をもらったように私自身も励まされることが何度かありました。
映画がスタートした瞬間からエンドロールが終わるまで1秒たりとも無駄がない。また音楽がめちゃめちゃ良いんです。最後(ほし)が新幹線に乗って東京に向かいながら、お互いが今までのメールのやりとりや8ミリビデオの光景を思い出しているときに流れる音楽が最高に良いんです。今回は泣かなかったけど弱ってるときに観たら泣いてしまいそうなほど切ないメロディ。
一番好きなシーンはやっぱり8ミリビデオのシーンでしょう。私は映画を観ている立場なのだから、(ハル)も(ほし)もバーチャルではなく肉体的に存在していることなど分かってはいるんだけど、あのシーンを観ていると「あ、いた!見えた!」と一緒に嬉しくなってしまうのが本当に不思議。あのシーンはとっても素敵です。
物語のほとんどを文字が占めているのに、決してそんな感じがしないところがこの映画の凄いところかも。文字だけでここまで表現し、映画として成立させてしまうのは本当に凄い。
あたかも自分が(ハル)と(ほし)と共に同じ愛を育んできたかのような錯覚に陥る。
淡々としていながらも決してそれだけでは終わらない。そんなストーリーが自分にはとっても心地よかったです。

(ハル) [DVD]

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