博士の愛した数式

出演:寺尾聡、深津絵里斎藤隆成吉岡秀隆浅丘ルリ子ほか
脚本・監督:小泉堯史

単純にルートの授業がとっても興味深いもので楽しめました。数字って面白いなぁと思います。私は完全なる文系なので、昔から数学は相当苦手ですが、こういう勉強だったらすごく楽しそう。大学で数学入門の授業を取ってみるのもなかなか良いなと思えてきました。
特別に大袈裟な演出もなく、博士と過ごした穏やかな日々が淡々と描かれているのがすごく良いと思います。何か大事件が起こるわけでもなく、衝撃的なことが起こるわけでもないので、それがとても現実的なことに思えて入り込めました。
80分しかもたない博士の記憶。このことによって、きっとルート達が辛い思いをたくさんするんだろうなと思っていたので、観たらそうでもなくて意外でした。例えば記憶が持続しないが為に相手が誰だか分からなくなって混乱してしまうとか、衝突が起きてしまうとか。でも、そんなことはありませんでした。
これは私が勝手に勘ぐっていたことですが、野球場で博士がメモをたくさん貼り付けた上着を脱ぎベンチに置くシーンなんかを見て、もしかしたらこのメモの中のどれかが風で飛んでいってしまって、この後何か問題が起きるんじゃないかとか、ルートが最初はちょっと悪い子で博士を傷つけちゃうんじゃないかとか考えていたんですが・・・私の心がひねくれ過ぎていたようです。博士をはじめ、みーんなが良い人だったんです。
深津さんって本当にこういう役がはまり役だと思います。もう善人オーラがガンガン出ている人ですから、この人だったらそりゃ博士だって穏やかでいるだろうし、息子だってあんな良い子に育っているわけですよね。何度同じことを聞かれても毎度毎度変わらぬ笑顔で対応する深津さんが本当に素敵でした。優しい顔してますもんね。
ルートが「あの時の博士の悲しい顔を忘れない」と言ったシーンでは、短いシーンだったんですが泣けてしまいました。ママもルートも本当に優しくて博士想いなんだと実感したシーンです。ちゃんと自分の過ちを子供に謝れるママ、それを許せる息子。素敵です。
しかし、なんと言っても一番は博士の人柄でしょう。本当に優しくて愛の溢れた人です。異常に子供を心配してみたり、相手の良い部分を見ることが出来て、褒めてあげられる人。あんな人に、私もなりたい。
とっても素敵な映画でした。

博士の愛した数式 [DVD]

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